院長ごあいさつ

院長 關 紳一

 埼玉県済生会鴻巣病院にアクセスしていただき有難うございます。

 

 当院は、全国で80を越える済生会病院の中の1つであり、公的病院としての役割をもつとともに、済生会で唯一の精神科単科病院として地域に寄与しています。済生会は、その成立からの共通理念として「施薬救療」の精神が基本にありますが、この精神は今後医療や福祉が先進的になっていこうとも、変わらないものであると考えていて、当院は、病院を軸に、精神疾患をもつ方や認知症を中心とする高齢者の方等への地域ケアを行うために医療と福祉にまたがる関連施設を集約化し、有機的な連携をとれるように心がけています。

 

 現在我が国においては認知症の方が圧倒的な勢いで増えつつあり、一方でそれらの人たちをサポートしていく側の減数が予想され、将来においては重大な局面を迎えることになると推定されています。埼玉県においてはとくに高齢化比率が高く、人的資源を含む医療体制がそれに追いつけない状況となるのではないかと危惧されているのです。当グループにおいては認知症疾患医療センターを備え、地域における関係機関との連携を進めながら積極的に啓蒙活動を行い、同時に医療面では認知症治療病棟を中心に高齢者への医療対応にも努めています。

 

 また、うつ病を中心に精神疾患をもつ方たちが増えてきているのも現代の特徴であります。自殺者の数は3万人を割りましたが、その深刻さはけっして楽観できるものとはいえません。現在精神科が守備範囲とする対象疾患は、小児期の発達障害から成人期の各種疾患(統合失調症、感情障害、アルコール・薬物依存症、解離性障害、摂食障害、PTSD等)や老年期の認知症までと、その領域が拡大しています。当院においては、これらの疾患の急性期から慢性期にある人たちにきちんと対応できるように精神科救急診療病棟を稼働させるとともに、地域医療における拠点としてメンタルクリニックを鴻巣駅前に整備し、訪問看護やアウトリーチ機能を備え、入院によらないサービスにも力を入れています。

 

 さらに社会的役割をとるという観点からは、成年後見制度や触法精神障害者の鑑定・処遇、さらに職場のメンタルヘルスへの支援、アルコール/薬物依存症やギャンブル障害への専門治療の提供など多方面にわたって活動を行っています。

 

 はじめに述べましたように、済生会の一員として医療と福祉を必要とするが経済的理由などにより困っている人たちに対しても、“済生”の精神をもって精一杯関わっていきたいと思いますので、何卒ご指導をお願いいたします。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部
埼玉県済生会鴻巣病院
院長 關 紳一